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欧州単一特許制度(Unitary Patent)の開始が迫っています

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欧州単一特許制度は、かなり以前から検討されていましたが、いよいよ2023年に発行される見通しとなりましたこの制度は、大きなコスト削減の可能性があるものの、すべての企業にとって最適な選択肢になるとは限りません。

欧州単一特許制度の概要:

単一特許の基礎現在の欧州特許制度は、特許付与前の手続き一本化されており、出願人は、登録が有効となる国を個別に指定することできます。しかし、付与された欧州特許は、指定されたそれぞれの国での国内登録となります。新制度では、単一特許は、この制度に参加するすべてのEU加盟国において、権利行使、維持、取消および制限の面で同等の効力を有することになります。これにより、出願費用・維持年金費用だけでなく、翻訳や現地代理人などの関連費用も削減されることになります。

単一特許申請新制度では、特許権者は欧州特許出願制度の下で出願し、審査は従来通り行われます。しかし、特許付与が公告されると、特許権者は1ヶ月以内に単一特許保護を申請することになります。単一特許保護は、すべての参加国に対して特許が同じ請求項を含む場合にのみ利用することができます

統一特許裁判所制度では、単一特許および従来の欧州特許の両方に関する侵害有効性に関する紛争を審理する統一特許裁判所も設立されます

RWS 知的財産サービス部門IPオペレーション担当バイスプレジデントであるエリカ・ガットランドは、「2008年のロンドン協定の経験から、欧州特許に関する規制の変更は、対応が複雑なものとなる認識しています」と述べています。「RWSでは、意思決定プロセスを簡素化する使いやすいソフトウェアソリューションによサポートを通じて、お客様が、地理的範囲と現在および将来のコストの適切なバランスを実現するために、明確で公平な情報入手を支援するサービスを提供しています」。

単一特許の実施に関わる複雑な決定に備えて、以下の重要な検討事項があります。オプトインの期間が特許付与の公告から1ヶ月のみと非常に短いため、特許権者は事前に十分な計画を立てておく必要があります。

出願前の3つの確認事項

(1) 欧州での主要事業は、どの国・地域で行っていますか

単一特許制度は、EU加盟国のみを対象としています。したがって、英国やスイスなど、欧州EU加盟国主要な事業を展開している企業の場合、そこで登録された特許を個別に維持・行使する必要があります。また、すべてのEU加盟国がこの制度に参加するわけではありません。クロアチアスペイン、ポーランドは参加していません。

最後に、単一特許制度を実施する協定は、参加するEU加盟国が署名するだけでなく、正式に批准する必要がありますその結果、制度が施行された場合、発行された単一特許は、協定に署名および批准した国でのみ有効とります参加国は今後変わる可能性があります。単一特許証明書には、それが有効である国が記載されます。他の国が後批准した場合でも、登録その国遡及的に有効になるわけではありません。こは、ドケッティングやその他の記録保持に関して考慮すべき事項となります

単一特許は、欧州全体を完全にカバーするものではありませんが、特許権者は単一特許の権利と他の国における従来の欧州特許の権利とを組み合わせることができます。

(2) 統一特許裁判所からオプトアウトすべきでしょうか? 

これまで、欧州特許の侵害問題については各国の司法当局が判断していました。統一特許裁判所(UPC)は、単一特許の侵害および有効性の両方に関する紛争について独占的な管轄権を有することになります。さらに、UPCは、従来の欧州特許に関する紛争についても管轄権を有することになりますが、以下のような重要な注意点があります

施行後少なくとも7年間にわたり、従来の欧州特許の権利者は、その特許に関して既にUPCへの提訴ない限り、UPCによる裁判管轄からオプトアウトすることができます。逆に、従来の欧州特許の権利者は、既に国内裁判所への訴訟がない限り、後にオプトアウトを撤回し、UPCによる裁判管轄に同意することができます。

UPC推進者は、UPC専門の裁判官を採用し、裁定が、制度に参加しているすべてのEU加盟国に調和的な効果をもたらすとしています。しかし、調和は諸刃の剣です。ある提訴者が提起したUPC案件の判決は、提訴者の地理的範囲に関係なく、すべての参加国に影響を及ぼすことになります

(3) 貴社の事業に、特許はどのような価値をもたらしていますか

企業にとって重要な特許企業事業戦略に重要でないと思われる国の被告人侵害者が起こしたUPC訴訟に基づ単一の訴訟で特許の一部または全部無効にると想像するのは非常に恐ろしいことです一方、大量に出願する企業にとって、単一特許によるコスト削減および効率性は非常に有益なものとなるでしょう。

企業は、出願戦略において大規模な無効化のリスクを考慮するだけでなく、単一特許の保護を実現するために、請求項に組み入れるフォールバックポジションを慎重に検討する必要あります。

特許ポートフォリオ管理には、常にコストと適用範囲一定のバランスが必要となります。単一特許制度の初期段階は、この事実がより顕著なものになるでしょう。単一特許制度を利用されるかどうか関わらずRWSは、出願、調査、分析、翻訳などお客様の知財活動をワンストップでサポートいたします。  

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  ニールシンプキン

  RWS 知的財産サービス部門プレジデント

 

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RWSでは年間53,000件以上の欧州特許有効化と7,500件のPCT国内段階移行をご依頼いただいています

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